こんにちは。スタートアップデータベース「KEPPLEDB」のPdM、枝です。KEPPLE DBは、オンラインで見つけにくいスタートアップ情報を整理して提供することで、投資家の皆様のソーシング効率を向上させるお手伝いをしています。
KEPPLE DBのリリースから2年が経ち、時間の経過の速さを感じています。リリース当時、私はプロダクト開発のチームではなくデータ構築のチームに関わっていたため、プロダクトマネージャー(PdM)になってまだ1年ほどしか経っていません。プロダクト開発のチーム内で自分が担うべき役割を見つけるために、日々試行錯誤しながら奮闘しています。
価値向上に向けた新たな取り組み
その中で最初に取り組んだことは、現在主にご利用いただいている事業会社の投資担当の皆様がどのような悩みをお持ちであり、どのようにKEPPLE DBを活用されているのかを深く理解することです。掲載情報としては基本的な企業情報のほか、類似企業やマーケットレポートなどもありますが、本当にユーザーの皆様に価値を感じていただけているかは明確ではありませんでした。
過去のドキュメントを読み漁り、既存ユーザーへのヒアリングに同行して、ひたすら定性的な情報を集めました。その結果、現状のユーザー像は明確になりましたが、ユーザーがどれくらいの頻度でどのようにプロダクトを利用しているかという定量的な情報はほとんど可視化されていませんでした。
そのため、現状を把握するための根拠が非常に曖昧で、仮説に頼ったPRD(プロダクト要求仕様書)を作成せざるを得ず、チーム全体で高い納得感が得られないまま開発を進めていました。
このままでは価値の高いプロダクトを創り上げる文化を育てることができない!という課題意識から始めた、ユーザー行動の分析基盤づくりの取り組みについてシェアしたいと思います。
今回の基盤づくりには、Google Tag Manager と Looker Studio を活用しました。これらのツールには全く詳しくなかったため、ディスプレイに穴が空くほど調べながら進めました。分析基盤として可視化した内容は、主に以下の4つです。
- ユーザーの利用状況(DAU等)
- 法人契約あたりの利用状況
- 利用しているUU数
- 利用しているUUの偏り
- 各機能の利用状況、各コンテンツのアクセス状況
- 全アクセス数のうち各機能、各コンテンツの利用割合
- 各機能の利用ユーザー数、検索数
- 各コンテンツの利用ユーザー数、アクセス数、エンゲージメント
- その他
- どのような条件で検索しているか
- ユーザーのプロダクトを利用している環境(OS、ディバイス、ブラウザ等)
テクニカルな観点で苦労した点もいくつかありました(GTMの設定やLooker上でアウトプットする際のフィルタリングなど)。しかし、これらのデータをダッシュボード上でいつでも観測できる状態にし、定性的な情報と組み合わせることは、以下の3つの点で非常に効果的でした。
1.現状の把握と課題の設定
ユーザーがどのようなシチュエーションでどの機能を利用しているのかを把握することで、課題が明確になり、改善すべき機能やその優先度がよりクリアになりました。
2.現状と理想との差分の把握
プロダクト作りの文化を醸成するためには、現状把握に加えて、プロダクトビジョン、ユーザー価値、ユーザーストーリーの定義と浸透が重要だと考えています。このタイミングでこれらも整備しました。
これらが揃うことで、現状と理想の差分を高い解像度で認識でき、どのようなユーザーにどのような体験や価値を、どのような優先順位で提供するか、いわゆるプロダクトロードマップを描くことができました。
3.機能開発の根拠の強化と実装後の効果検証
基本的にPRDを用いて、事前に提供価値やKPIを定義した上で新機能の開発や既存機能の改善を議論しています。データがあることで、根拠を定量的に示せるようになり、チームメンバーの納得感がより高まりました。また、機能リリース後には定量的な評価を行うことで、効果の検証ができるようになりました。
今後について
データ基盤は概ね整いましたが、これはあくまでもファーストステップと考えています。今後は、他の目的でも利用できるように整備し、レバレッジをかけていきたいと思っています。例えば、以下のような取り組みを考えています。
- ユーザーに対して精度の高い提案を行い、さらなる価値を提供するためのダッシュボードを作成したり、ユーザーがより有効的に利用できるよう並走する。
- North Star Metric(NSM)を頂点としたKPIツリーをトラッキングするためのダッシュボードの作成。NSMは、プロダクトビジョンの実現、事業収益の向上、ユーザー価値の向上に繋がるような単一の指標を定めるフレームワークで、この指標の定義とトラッキングができる環境を整備する。
まだまだやるべきことが多く、道半ばではありますが、さらなるKEPPLE DBの発展に貢献するため、全力で頑張っていきたいと思います!